一か所でたくさんの生き物を飼育すると、害虫が寄ってきます。鶏の場合は、ダニとハエです。
ダニがいると夜眠れなくなり、卵を産めなくなるので殺虫剤で退治するのが普通ですが、この殺虫剤が強烈です。一度だけ殺虫剤をまいたことがありますが、一週間働けなくなりました。
鶏の何十倍もある人間ですら体を壊を壊してしまうのに、、、鶏は???
健康とは言えないのではないか?と思ってしまいます。
ダニは水、エサのまわりによってくるので、当然鶏の水、エサに混入します。殺虫剤を使うとポストハーベストフリーのエサであっても、食べる直前にエサに薬剤がかかってしまうこともあります。
二つ目はハエ。
ハエは匂いにつられてやってきて、卵を産み付けます。
ハエが発生すると病気を運んでしまったり、ご近所に迷惑をかけてしまうので退治します。
ここでも薬剤を使います。2種類の薬剤を使いますが、ひとつは殺虫剤。もうひとつは脱皮阻害剤です。
脱皮阻害剤は成長をとめてしまう薬剤です。これを鶏糞にまきます。
そしてその鶏糞は袋詰めされホームセンターで販売します。
もしかしたら薬剤が残っているかもしれない鶏糞を畑にまきます。
人体に悪影響を及ぼすかもしれないだけでなく、環境を汚染してしまいます。
これらの理由でケージ飼育はできないと思いました。
良い卵は健康な鶏から産まれてきます。なので鶏の健康管理はとても重要です。
実際に経験したウインドレスのケージ飼い鶏舎では健康かどうかどころか、生きているかどうかも分からないくらいでした。
真っ暗で、懐中電灯を照らしての管理だったので見落としはけっこうありました。
また生活スペースも一羽あたりA4くらいのサイズのみなので、暑くても涼しむことができません。
バタバタと羽を動かしたら網にひっかかり、身動きとれなくなります。
夏にはそんな鶏が増え、水も飲めずに一生を終えていきます。
すぐに水を飲ましてももう飲まない。手遅れです。
まだ体温が残っている時は本当につらい思いをしました。
ノイローゼになり辞めていく人もいましたが当然だと思います。
その方に
「宮本さんはこれをみて何とも思わないのですか?」
と聞かれたことがありました。
その時は
「産業動物として割り切るしかない」
と答えてしまいました。
でも20年経った今、割り切れず平飼いを選択しました。
安くつくるにはかなりの犠牲が必要になるという事実を受け入れることはできないと思いました。
以上の理由により、フリーレンジを選択しました。
宮本養鶏場では現在、
父が経営する開放ケージ飼いと
私が担当する庭付き開放平飼い
(フリーレンジ)
の2種類の飼育方法で卵を生産しています。